
IHで使える素材は、鉄・鉄鋳物・鉄を素地にしたホーロー、IH対応のステンレスなどが基本です。ただし、素材名だけで使用可否は決まりません。アルミ製でもIH対応の底を備えた鍋は使え、18-8ステンレスでも鍋の構造や調理器の機種によって対応が分かれます。
厨房で鍋を選ぶときは「本体の素材」「底面の構造」「使用するIHの仕様」を組み合わせて見ることが大切です。この記事では、一般的な鉄・ステンレス対応IHを中心に、素材ごとの違いと選び方を解説します。
IHで使える素材・使えない素材の基本
鉄・鉄鋳物:一般的なIHで使える素材です。ただし、丸底の中華鍋などは平面式IHにそのまま使えません。
鉄ホーロー:鉄鋼板や鋳鉄を素地にした、IH対応表示のある鍋が対象です。ホーローという表面仕上げだけで判断しないことがポイントです。
18-0ステンレス:IHで使えるものが多い素材です。製品の対応表示と、底の形状・寸法も確認します。
18-8・18-10ステンレス:条件付きです。使えるもの、加熱が弱くなるもの、使えないものがあり、素材名だけでは判断できません。
アルミ・銅:単体の鍋は一般的なIHでは使えません。IH対応の発熱層を備えた製品や、対応するオールメタルIHでは使える場合があります。
耐熱ガラス・陶磁器:素材そのものを通常のIHで直接加熱することはできません。IH用土鍋などの複合構造品は、調理器側が使用を認める組み合わせに限ります。
出典:日本電機工業会「使えるお鍋について」 https://www.jema-net.or.jp/living/ih/tool.html
ステンレスは18-0と18-8でIH対応が違う?
ステンレス製なら何でもIHで使える、というわけではありません。日本電機工業会は18-0・18-8・18-10を使用可能な素材として案内しつつ、18-8・18-10は火力が弱くなる場合があるとしています。一方、三菱電機の機種別資料では、18-8・18-10は厚さによって使えない場合も示されています。
このため「18-8は必ず使えない」「18-0なら必ず使える」といった覚え方は避け、鍋のIH対応表示と調理器の説明書を照合しましょう。
多層鍋では、内側に18-8ステンレス、中間にアルミ、外側の底面にIH対応のステンレスを組み合わせるなど、層ごとに役割を分けた構造があります。中にアルミが入っているだけで非対応になるわけではなく、IHで加熱される部分の材質が判断のポイントです。
出典:三菱電機 IHカタログ・使用可能な鍋の案内(掲載機種の条件) https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/ldg/wink/wink_doc/contents/doc/WEB_CATA/SS132CA781A_PDF/data/target.pdf
アルミ鍋でもIH対応の商品がある理由
一般的なIHで、通常のアルミ単体の鍋をそのまま加熱することはできません。一方、アルミ本体の底に鉄やIH対応のステンレスなどを組み合わせた製品は、その部分を発熱させて調理できます。
商品表示では「本体:アルミニウム合金」「貼り底:ステンレス鋼」などと材質が分けて記載されます。アルミという本体素材だけを見て、ガス専用と判断しないようにしましょう。
また、銀色・金色といった見た目や、アルマイト処理の有無は、IH対応を決める表示ではありません。底面の構造と熱源表示を確認します。
出典:Panasonic「アルミ製の鍋はIH対応?」 https://sumai.panasonic.jp/ihcook/guide/alminum-pot-pan.html
製品表示の例:貝印「軽い両手鍋(IH対応)26cm」 https://store.kai-group.com/shop/g/g8806/
フッ素樹脂加工・セラミック加工はIH対応と別の話
フッ素樹脂加工などの表面加工と、IHで発熱する鍋底の構造は別の項目です。先ほどの貝印の製品も、内面はフッ素樹脂塗膜加工、本体はアルミニウム合金、貼り底はステンレススチールと、それぞれ異なる役割の材料を使っています。
フライパンを買う際は、コーティングの種類に加えて「IH対応」「100V・200V対応」などの熱源表示を確認してください。「セラミック加工の金属製フライパン」と「陶磁器製の鍋」も区別して選びます。
オールメタルIHならアルミや銅も使える
オールメタル対応IHは、一般的な鉄・ステンレス対応IHでは加熱できないアルミや銅の鍋にも対応します。ただし、底の大きさ・反り・鍋の形状などによる制限は残ります。
複数の加熱口を持つ調理器では、使う加熱口がオールメタル対応かどうかも確認しましょう。同じ設定でも、鍋の材質によって加熱の具合が変わることがあります。
また、ラジエントヒーターはIHとは加熱方式が異なります。「中央のヒーターでは使えた」という経験だけでは、左右のIHでの使用可否は判断できません。
出典:Panasonic FAQ「どんなお鍋が使えるの?」 https://jpn.faq.panasonic.com/app/answers/detail/a_id/99481/
日本電機工業会「IHクッキングヒーターなんでもQ&A」 https://www.jema-net.or.jp/living/ih/question.html
磁石がつけば使える?鍋選びで確認したいポイント
磁石は目安。対応表示と説明書で確かめる
鍋底に磁石がつくかどうかは、一般的なIHで使える鍋を見分ける目安です。ただし、磁石がついても、材質や底面の形状・サイズによっては調理できません。逆にオールメタル対応IHでは、磁石がつかないアルミや銅にも対応します。
三菱電機も、磁石だけでは使用可否を確定できないことを案内しています。
出典:https://www.mitsubishielectric.co.jp/club-me/howto/memo/1912/index.html
鍋の呼び径ではなく底径を見る
商品名の「24cm」などは口径を示す場合があります。IHの使用条件で指定される底径とは分けて確認しましょう。底が平らで安定すること、反りや脚がないことも重要です。
例えばPanasonicの卓上IHの案内では底径12~26cmが示されていますが、これはすべての家庭用・業務用IHに共通する数値ではありません。使用機種と調理モードごとの条件に合わせて選びます。
出典:Panasonic「卓上IH調理器で使える鍋・使えない鍋は?」 https://panasonic.jp/ih/usable-pan.html
土鍋と揚げ物用鍋は用途ごとの指定を優先
土鍋は「IH対応」と表示されていても、調理器側が使用を禁止している場合があります。日本電機工業会は原則としてガラス・陶磁器を使用しないよう案内し、100VのIHでは所定のSGマークがある土鍋を使える例外も示しています。土鍋とIHの両方の説明書に適合する組み合わせを選びましょう。
また、通常の加熱で使える鍋でも、揚げ物モードに使えるとは限りません。揚げ物には、その機種で指定・推奨される鍋と油量を守ります。
料理人目線で選ぶ業務用IHの鍋
厨房で使う鍋は、まず使用するIHの型番と用途を決め、それに合う底径・容量・重量を選ぶと絞り込みやすくなります。大容量の寸胴鍋や半寸胴鍋では、満水に近い状態を想定した総重量と、調理器の許容荷重も確認項目です。
煮込み用の鍋、炒め用のフライパン、卓上提供用の鍋では必要な大きさや取り回しが異なります。IH対応という条件を満たしたうえで、洗いやすさ、持ち手、ふた、収納場所まで含めて選びましょう。
ホーロー鍋の素材や使い勝手を比較したい方は「ホーローのお鍋の特徴・鋼板と鋳物の違い」も参考にしてください。 https://sskssk.com/enamel-pot-features-guide/
調理器具を探す際はSSKSSK.COMのショップから、用途に合う鍋を比較できます。 https://sskssk.com/shop/
よくある質問
鉄の中華鍋はIHで使えますか?
鉄製でも丸底のものは、一般的な平面式IHには適しません。平底でIH対応の製品を選びます。丸底専用の業務用IHでは、指定された鍋と組み合わせます。
ガス火対応の鍋はIHでも使えますか?
ガス火対応という表示だけでは判断できません。IH対応の有無を確認してください。反対にIH対応の製品でも、使える熱源や使用方法は製品ごとに異なります。
使えるかどうか、空の鍋を載せて試してよいですか?
空焼きでの確認は避けます。まず説明書で使用禁止の材質・形状に該当しないことを確認し、機種が案内する方法で鍋に水を入れて判定します。表示が点灯しても、揚げ物などすべての用途に適合することを意味しません。
まとめ:IHで使える素材は鍋底の構造まで見て選ぶ
IHで使える素材の基本は、鉄・鉄鋳物・鉄ホーロー・IH対応のステンレスです。18-8ステンレスは一律に非対応ではなく、アルミ製でもIH対応の底を持つ製品なら使えるものがあります。
購入時は、素材名に加えて、IH対応表示、底径、底の平らさ、使用する調理器の条件を確認しましょう。厨房での用途と必要な容量を決めてから選ぶと、調理器に合う使いやすい鍋を見つけやすくなります。
鍋・フライパンを探す:https://sskssk.com/shop/
参考資料・確認事項
一次情報は各節のリンク先を参照。確認日:2026年11月3日。
機種別資料の寸法・板厚・使用条件は掲載機種の例であり、全機種共通の仕様ではありません。





